エストニア共和国より愛をこめて

北欧に位置する人口130万ほどの小国・エストニアに暮らす大学生が、留学・観光・社会・市民生活などの話題を中心にさまざまな情報をお届けします。

経済移民なわたし

エストニアの人々が夏至祭のどんちゃん騒ぎをする中、「UKで行われたEUからの離脱の賛否を問う国民投票離脱派が勝利し、UKはEU離脱に向かうことになりました」というニュースが駆け巡った夜からもうすぐ2か月が経つんですねー。

イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票

離脱派が「UKの社会保障財源が逼迫しているのはEU諸国から流入した経済移民のせいだ」といったプロパガンダを打ったことが功を奏したのだ、という意見があったりして、改めてEUにおける経済移民についての議論が盛り上がったりもしているようです。

経済移民というのは文字通り「より豊かな暮らしを求めて自らの意思で他国に移住した人」で、戦乱や政情不安などを背景とした迫害から逃れるために国を離れた「難民」とは区別されます。そして移民受け入れ側の国からは「自国の社会保障や雇用を逼迫させる存在」としてたびたびネガティヴな扱いを受けたりします、特に労働需要の様態が変化した近年は。

で、こうしたニュースには当然わたしは無関心ではいられないわけですよ。だってわたし自身がこの「経済移民」に該当すると思われる人間なので。しかも「高度な専門技術を持っている労働者」とかでは全然なく、「日本に住むのはいろいろ大変だったので、もっと良い暮らしができないかなあと思ってヨーロッパに来ましたー」というのがわたしですからね……。現時点では学生でまだ就労していないとはいえ、すでに事実上の移民ですよねこれ。

旧ブログでも書いたとおり、わたしは日本に住み続けていたら経済的理由で絶対に無理だったはずの「フルタイム学生としての大学進学」を、エストニアに移住することによって果たせたのでした。これって、エストニア政府と国民のみなさんが、この国とまったく縁もゆかりも無かった外国人であるわたしに貴重な高等教育の機会を与えてくれてる(=結構な税金を投入してくれている!)わけですよね。しかも通っている大学は国立で、大学が所有する格安の学生寮に住まわせてもらっていて、さらにタリン市民として住民票が与えられているので市内の公共交通機関も無料で使わせてもらっております。エストニア国民の皆さんには、もう感謝しかないですほんとに。

そして、卒業後はぜひこの国で仕事を見つけたいなあと思っています。日本に帰っても再就職は大変だろうしねー。……となると、限られた雇用のパイを、エストニア国民の皆さんやEU市民の皆さんと競争して奪う、ということになるわけですな。

エストニア人学生やほかのヨーロッパ諸国の学生たちとも社会問題についてよく話すんですけれど、異口同音なのは「シリア難民問題と連続テロで、ヨーロッパも大きな転換点を迎えたねー」ということ。さらに具体的には「今後は欧州懐疑論が高まったりとか、右派勢力が台頭してきたりとか、欧州統合派にとっては受難の時代になるんじゃないの」みたいなことを多くの学生が言ってます。

実際に1年間住んで地元の人たちともそれなりに交流してみても、やはり「リベラルでオープンな国だなあ」と思うことが多いエストニアですが、もちろんそういう人ばかりでもないようで。昨年夏にはタリン市街でついに「移民反対デモ」が開催されたとか。

Youtube - 6. June 2015: First anti-immigration protest in Estonia



わりと大変な時期にヨーロッパに来ちゃったな、という感じも若干ありますが、EU市民のみなさんが言うくらいの歴史的大波を現地で体験しているわけでこのビッグウェーブに乗るしかないぜ、とちょっとワクワクもしております。