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エストニア共和国より愛をこめて

北欧の小国に留学中の大学生が当地への留学や観光、社会生活についての情報などをお届けします

日本のマイナンバー制度のお手本・エストニアの国民ID制度は超便利

社会
 


メルケル首相発見!

先日、ドイツのメルケル首相がエストニアを訪問しました。タリン旧市街の教会を来訪中とのことでわたしも立ち寄ってみたのですが、ほどなく首相が出てきてうまいこと写真を撮ることができました! 中央のメルケル首相の後方に見えるのがエストニアのターヴィ・ロイヴァス首相です。 ロイヴァスはなんと1979年生まれで、EU諸国の首脳としては最年少です。

さて、メルケルの来訪目的の一つはエストニア電子政府政策の視察だったようです。人口130万人ほどの小国でありながら、エストニアは世界最先端の電子政府を擁する国なんです。実は日本のマイナンバー制度も、先行するエストニアの技術を大いに参考にしているらしいですよ。

わたしのような外国人留学生にもIDナンバー入りのカードの所持が義務付けられています。エストニア国民と同様にID登録されてデータベースに管理されているわけですね。このIDカード、身分証明書としてどこでも通用するのはもちろん、EUのシェンゲン協定圏内ならばこのカードをパスポートの代わりとして出入国ができます(※わたしはEU市民ではないので、念のためエストニア国外に出るときはパスポートも持ち歩いています)。そして、あらゆる行政手続がこのIDを使ったオンライン申請で完了してしまうので、それはそれは便利です。

たとえばですね、「ひどい風邪にかかってしまって病院へ行き、薬を処方してもらって薬局で薬を買う」というシチュエーションを考えてみましょう。これが日本だったら、

  1. 病院の外来受付に行き、診察券と健康保険証を提示
  2. 診察を受け、その診断内容については医師がカルテに記入
  3. 薬の処方箋を出してもらい薬局へ
  4. 薬局で薬を処方してもらい、処方内容を「おくすり手帳」に記入してもらう

という感じになるんでしょうか。まあいろんなカードやら紙やらが必要で面倒くさいわけです。

わたしの場合、特に薬局に薬を出してもらいに行くときに「おくすり手帳」を持ってい くのをよく忘れてました。薬ってアレルギー症状を引き起こすことがあったり、別々の薬の飲み合わせにより危険が生じることがあったりするみたいだけど、 「おくすり手帳」って所持も任意で管理も自己責任だった気がするんですがあれでいいのかしらね?!

もちろん紙やカードといった物理的な面だけではなく、データベース自体もそれぞれ別体系になっているわけですよね? 健康保険のデータは保険証番号で管理され、カルテは病院ごとに紙データで保管され、あと薬局も処方箋って紙のまま控えているのかな?? 

エストニアの場合、これらが全部一枚のIDカードで済んでしまう、と考えてください。カードが少ないほうがお財布が薄くなって便利、といったことももちろんなのですが、その利便性が発揮される場合の例として「旅先で病気になった場合」を考えてみましょう。

東京から関西旅行に出かけましたが京都に着いたとたんに40度の熱が出てしまいました、という場合、もし保険証を忘れていたら診察料を一度全額負担 しないといけないのでいきなり面倒くさいですね。かかりつけの医者ではないのでカルテが新たに作られて、病院側も「いままでに薬でアレルギーを起こしたこ とはありますか?」「既往症はありますか?」「大きな手術などを経験したことが…」といったあの一連のチェックをやらないといけません。旅行のときにはふ つう保険証を忘れてないかチェックしてから出かけるでしょう、という人も「おくすり手帳」までは持っていかないのでは?

エストニアの 国民IDはこういうときに実に便利なのです。タリン市民のわたしが海辺のリゾート地のパルヌに出かけてビーチでのんびりしていたところ、いきなり腹痛に襲 われたので病院にかかることになりました、という場合。健康保険のデータも薬の服用歴もカルテもすべて国民IDに統一されていますから、旅先で駆け込んだ 病院の場合でも、医師は患者の既往症歴や薬の服用歴を即座に電子カルテから取り出せます。「この薬はアレルギー反応を引き起こすことがあるので、処方するためにはまずパッチテストを行って患者の体質を調べなくてはならないのだが…」といった場合なんか超便利ですよね。以前にそのような検査を行ったことがあれば電子カルテに記録があるわけで。「やば! 患者が自分の常備薬を把握してなくて、飲み合わせるとショック症状が出る可能性がある薬を処方しちゃったよ!」みたいな事態も防げるということですね。

「そこまで統一されたデータベースだったら不正利用される恐れもあるのでは」という心配はごもっともですが、患者の側が希望すればすべてのアクセスログを閲覧できることになっているので、不安を感じる人はあまりいないようです。制度自体の便利さが圧倒的に勝っていることもあり、国民からの不満の声はほとんどないみたいですね。

今回は病院にかかって薬を処方してもらう場合を例に取りましたが、ほかの市民サービスを受ける際も万事この調子で、もうあらゆる場面で電子化、ペーパーレス化が推し進められています。今後もこちらのブログでエストニアの電子サービス超便利!」という実体験を紹介していきますね。