エストニア共和国より愛をこめて

北欧の小国に留学中の大学生が当地への留学や観光、社会生活についての情報などをお届けします

日本に住み続けることのリスク

 

2週間ほど前に書いた「日本の大学に進学するよりヨーロッパ(※英国を除く)に留学したほうが安上がりというお話」というのがだいぶ評判がよくてですね、たくさんの方に読んでいただけたようです。

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ツイッターfacebookでのシェア先を訪問してはどんなリアクションがされているのかをいちいち見に行ったりしてしまうのですが、ときどきわたしのことを、

「わざわざ日本を捨て、日本人がほとんど住んでいない辺境の国に渡って大学に通うというチャレンジをしている」

みたいな、「あえてリスクを取っている人」という感じでとらえている人がいて、結構びっくりするわけです。自分としては「リスク回避」のためにヨーロッパに移ったつもりなのに、まったく逆にとらえている人もいるんだなあと。高度な資格や技能を持っているだとか、相当な財産があるとか、そういった人たちは別なのでしょうが、そうではないわたしにとっては「日本に住んでずっと働く」ということがかなりリスキーに感じたので、別の国に移ることを決めたわけです。

日本の経済はますます衰退し続けておりますが、おそらく以前のような繁栄を取り戻すことはもう永久にないでしょう。「子どもの貧困をなくしたい」と訴えた立派な高校生が凄まじいバッシングを受けるような国ですから、まず明るい未来は無いかと思います。そしてその沈没が不可避な国でまっ先に犠牲になりそうなのがわたしのような層なわけですよ。そりゃ脱出も考えたくなるじゃないですか。

わたしがヨーロッパ留学を考え始めた2009年あたりは「日本の貧困問題」が大きくクローズアップされていたころだったのですが、幸いその6年後に大学に合格してこちらに来ることができたので、当時と比べればだいぶ将来の見通しが明るくなりましたねえ。もちろんまだ学生という身分に過ぎず、卒業してから仕事を見つけられるかはやってみないとわからないですからなんとも言えませんよ。ただし現時点でとりあえずヨーロッパの国立大学に入学して第一学年を修了できる能力を証明できているわけで、これだけでも6年前よりだいぶマシですね。
 
「リスクの回避」という視点で言うなら、エストニアへの留学は「金銭的リスクの回避」でもありますね。 もし日本の大学に進学していたら莫大な教育ローンを抱えていたでしょうからねえ。

わたしが思いついたくらいですから、同様のリスク回避を考える人も今後は増えるんじゃないですかね。先の記事でも触れたとおり、日本の大学に進学するより大陸ヨーロッパの大学に留学したほうがたいていの場合安上がりですので、近い将来には、

  • 日本の大学に進学できるのは裕福な家庭の子女に限られる
  • 「経済的理由で日本の大学への進学が難しいので海外留学」というケースが増える

 といった状況が出現してもおかしくないんじゃないかと思っています。昔は海外留学なんてお金持ちの家の子にしかできなかったことなのでしょうが、これからは「日本の大学に入れるほど裕福ではないので海外留学せざるを得ない」みたいな逆転が起こるかも、ということをわたしは考えているわけです。これは高等教育だけでなく就業においても同様なことが起こってもおかしくないと思っておりまして、たとえば、

  • 年齢や職歴などの理由で日本での就職が難しいので、海外で就職する
  • 日本は賃金が低いので、賃金の高い先進国で職を探す

というケースがどんどん出てきたりするんじゃないでしょうか。わたしのような「日本で生活するのが経済的・能力的に苦しい」という人たちが海外に出ていく、ということです。先進国の座を降りた日本は経済移民を送り出す側の国になっていくのでは、という。

あと、経済的理由や就職難だけではなく、日本の労働環境の劣悪さもクオリティ・オブ・ライフを大きく低下させるリスク要因かと思いますので、そういったものを拒否して国外に出て行ってしまうケースも増えるんじゃないですかね。 もしも日本企業の新入社員が、

  • 残業や休日出勤をしたくない
  • 会社の宴会に参加したくない・上司と飲みに行きたくない
  • 夏休みは数週間取りたい

などと口にしようものなら「甘えるな!!!」ということになるのでしょうが、ご存じのようにこれらは日本以外のたいていの先進国では当然なことなのですよね。今後は年配者が「甘えるな!!!」とか叱っても「日本の労働環境は劣悪なので海外で仕事に就きます。さよなら~」と日本を出て先進国に行っちゃう、みたいな痛快なパターンが増えるんじゃないですかね。これって素敵でしょ?

「人生における自由時間の総量」ってたいていは労働環境で決まってしまいますよね。長時間労働って健康的なリスクだけじゃなくて人生そのものの質を大きく損なうでしょ。わたしはジャズの演奏が趣味なのでバンドやったりジャム・セッションに行ったり楽器を練習する時間が大量に必要だし、あと友達とバーやクラブに遊びに行くのも大好きなので、日本に帰って日本の会社で長時間働くってのは無しだなー、と思っています。なので大学卒業後にはこちらで仕事を見つけないとなー。

ということで、わたしにとってエストニアに来たことは「リスク回避行動」なわけですよ。あえてリスキーな人生を選択している、どころか、まったく逆の発想なのでした。ただし繰り返しますが、わたしは現時点ではただの大学生に過ぎないですから、卒業後にどうなるかはまだわからないですよ。EUも移民問題を抱えているし、若年層の就職難もありますからね。ただ先にも少し述べたように、日本でそのまま働き続けていて、日本語以外しゃべれない、という状態よりはだいぶマシですからね。