エストニア共和国より愛をこめて

北欧の小国に留学中の大学生が当地への留学や観光、社会生活についての情報などをお届けします

海外留学するために必須の語学力とはどの程度なのか

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(写真:雪に覆われるタリン旧市街/トームペア城より)

 

「正規留学に必要なレベルの英語」でよいのならば日本国内でじゅうぶん習得可能

 

はてなブックマークのホットエントリをチェックしていて見つけた記事です。

 

www.catlani.com

 

よく「役に立たない、お金と時間の無駄」などと批判される語学留学ですが、こちらの記事は筆者の方の実体験に基づいていて説得力がありますねー。

わたしの場合は「語学留学」を経験せず、いきなり正規の学生としてヨーロッパの大学に入って現在に至ります。日本にいた頃、英語を他人から教わったのは1年と少しのあいだ受講した月額5000円ほどのオンライン・レッスンの経験だけで、それを除けばすべて独学でした。

あとわたしの場合は中学卒業後に高校に進学しなかったため「受験英語」というものも体験しておりません(※ただし大学受験用の参考書を何冊か教材として使用したり、大学受験問題集を試しに解いてみたりしたことはあり)。なので英語については大人になってから、まったくの基礎から独力で始めております。

それでも無事にヨーロッパの国立大学に入れたわけで、単位も順調に取得できていますので、わたしの経験からいえば「BA課程に正規留学できるレベルの語学力だったら日本国内で習得が十分可能」です。

さらにわたしの場合はフルタイムで働きながら通信制大学を卒業しており、英語についてはそれらの隙間時間で習得したので、「時間的な余裕が少ない人でも可能」と付け加えてもいいかと思います。

 

正規留学に必須の語学力は「B2」レベル

 

「正規留学に必要なレベルの語学力」ならば日本国内で習得できますよ、と言いましたが、それって具体的にはどういったレベルなのでしょうか。

結論から言ってしまうと、

「海外留学するために最低限必要な語学力」

は、

ヨーロッパ言語共通参照枠の『B2』レベル」

ということになるかと思います。

実際にわたしがエストニアの大学に入学した時点で大学から受けた語学力認定がこの「B2」というレベルでした。

(※ここで述べているのは『BA課程に正規留学する場合』です。博士課程ではC1以上が基準になってくるのではないかと思います。また国や大学によってはBA課程でもC1以上を基準にしているところもあるようです。)

では「B2」レベルはどの程度の言語運用能力をいうのでしょうか。

ウィキペディアの「ヨーロッパ言語共通参照枠」の項によると、「B2」は「実務に対応できる者・準上級者」のレベルとのことで、

 

●自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的かつ具体的な話題の複雑な文の主要な内容を理解できる。
●お互いに緊張しないで母語話者とやり取りができるくらい流暢かつ自然である。
●かなり広汎な範囲の話題について、明確で詳細な文を作ることができ、さまざまな選択肢について長所や短所を示しながら自己の視点を説明できる

引用:ヨーロッパ言語共通参照枠 - Wikipedia

 

と解説されています。

「『お互いに緊張しないで母語話者とやり取りができるくらい流暢かつ自然である』って、ネイティヴ相手にペラペラと会話できなければならないってこと??」

という声が聞こえてきそうです。しかし、「B2」レベルで渡欧したわたしの体験から言うと、実際の「B2」レベルの言語運用能力は、この説明からはだいぶ乖離している感じがします

たとえば、こちらのケンブリッジ英検における「B2」レベル(FCE, First Certificate in English)の口頭試問の様子をごらんください。

 

 

試験のサンプルとして公開している動画のようですが、実際に「B2」ってだいたいこのくらいの会話レベルです。「なんだ思っていたよりハードル高くないじゃん」という人が多いのではないでしょうか。「お互いに緊張しないで母語話者とやり取りができるくらい流暢かつ自然である」なんて説明があるのでビビリますが、実のところは上の動画でされているくらいのやりとりができれば十分「B2」に認定されるかと思います。

 

アカデミックな英語はくだけた会話よりリスニングが容易

 

では、実際に大学で講義を聴講するために必要なリスニング力はどのくらいでしょうか。

これはインターネットの時代ですので調べるのもそれほど難しくないですね。多くの大学が講義の様子を動画のアップロードサービスで紹介してます

たとえばこちら。ハーバード大学YouTube チャンネルにアップロードされているマイケル・サンデル教授の講義の様子です。

 

 

大講堂での講義ということもあってか、サンデル先生はかなりゆっくりとした、落ち着いた口調でしゃべってくれてますね。「え、この動画なら余裕で聞き取れるんだけど」という人も多いんじゃないでしょうか。

アカデミックな場所で話される英語って、くだけた口語特有の表現なんかがあまり入ってこないので、通常の会話よりむしろ聞き取りやすかったりするんですよ。

「映画やTVドラマの登場人物同士の会話は聞き取れないけれど、ドキュメンタリー番組のナレーションや TED の講演ならだいたい聞き取れる」みたいな人は多いんじゃないかと思います。「ある程度の大人数を相手にフォーマルな表現で話されているもの」は概して聞き取り易いものです。大学の講義もそれに含まれます。

 

「留学すれば自然に英語が身につく」は本当だった(わたしの場合)

 

この流れだと「留学すれば英語なんて自然に身につくよねー」という意見についても否定的なんでしょ、と言われそうですが、実はそうでもないです。なぜなら、わたしの場合はたしかに「留学生活を通して自然に身についた」感じなので

わたしはこちらの大学に入ってもうすぐ1年半が経ちますが、さすがにこれだけの期間英語で学問をやっていると、嫌でも多少は語学力は上達します

大学に合格しました、さっそく留学生活が始まりましたー、という瞬間から

  • 授業前の予習
  • エッセイの宿題
  • テストに備えての勉強

といったものに追われることになるわけですから、そりゃまあ特別な勉強をしなくても自然に語学も上達しますよね。

さらに、わたしの在籍している大学の場合、

  • 学期ごとに一定の単位数をキープしていないと除籍
  • 必修単位を2回連続で落とすと除籍
  • 修士課程に進むために必要なGPAが決まっている

などといった規定があるので、大学に残るためには嫌でも勉強しなければならなくなります。語学留学と違って人生がかかってくるので、そうとう意思が弱い人でもこういうプレッシャーのもとでは机に向かうでしょうからそんなに心配ないです。

 

お金と時間に余裕があるなら語学留学してもよいのでは

 

わたしの場合はそもそも経済的理由で「語学留学」というのは選択肢から外さざるを得なかったんですよねー。以前も書いているように、ヨーロッパ留学を決めた理由が「日本の大学に入れる金銭的余裕が無かったから」ですから、さすがに卒業しても学位を取得できるわけではない語学学校にお金を使うことは考えられませんでした。

逆に言うと、お金と時間に好きなだけ余裕があったらわたしも語学留学していたと思いますよ。ただし「語学の勉強のため」というわけではなくて、観光や体験学習をメインとしたものになったでしょうが……。

だいたい「語学留学」の場合、留学希望者のほうも別に「語学力の向上」を第一目的としているわけではないんじゃないですかね。「バケーションを兼ねて」とか「海外体験をしてみたくて」とか、そういう感覚の人がほとんどなのではないかと。

これだけ「語学留学って大して効果ないですよ」という情報がネット上に溢れているわけですから、実際に語学留学する人たちもそこは十分承知で留学を決めているのではないかと思います。本人がそれでいいなら別に他人がとやかく言うことでもないかと

「田舎に2週間の農業体験に行ってきます~」という人に「2週間で農業が習得できると思うなよ!」とか「本気で農作業を学ぶ気があるのか? 田舎暮らしに憧れているだけじゃないだろうな!」とか説教する人もいないでしょう。「語学留学」も同じようなものです。ただし農作業は農地で実習しないと学べないでしょうが、語学だったらテキストと音声再生装置(プラス、できればPCとネット環境も)があればどこでも勉強できますからね。経済的余裕がないという人もあきらめないでほしいです。