(完成すれば)世界最長の海底トンネル
エストニアに引っ越してからきょうで丸3年が経過しました! いやー早いもんですねえ~。
購入したのが格安チケットだったため、成田~アブダビ~ベルリン~ヘルシンキ(ここで1泊しフェリーに乗り換え)~タリンと、途中で3都市を経由しての長い旅でした。すっげえ時間かかりましたがそれぞれの空港の違いをいろいろ味わえて楽しかったです。
わざわざわたしのような長距離ルートを取る酔狂な人は稀でしょうが、しかしエストニアを訪れる日本人観光客は、たいていがフィンランドの首都・ヘルシンキを経由してエストニアに入国します。現在のところ日本~エストニア間には飛行機の直行便はありませんので、必然的にそのルートを選ばざるを得ないわけです(そもそもエストニアを訪れる日本人観光客のほとんどは『フィンランド観光のおまけ』というノリですから)。
ヘルシンキ~タリン間はフェリーで移動しても1時間半~2時間程度ですので、それほど慌てる必要もないんですが、この移動時間をさらに短縮させようという計画が以前から持ち上がっています。「ヘルシンキ~タリン横断トンネル」という構想です。
フィンランド湾を横切るこの海底トンネルの開通によって、ヘルシンキとタリンは鉄道で30分で結ばれることになります。実現すればドーバー海峡トンネルや青函トンネルを抜いて世界最長の海底トンネルとなる見込みです。2030年以降の開通を目指しているとのことです。
このトンネルが完成すれば、フィンランドからバルト三国を縦断して中央ヨーロッパまで(ロシアを経由せずに)陸路で移動することができるようになるわけですね。
By Ministry of Transport and Communication of the Republic of Latvia [Attribution], via Wikimedia Commons
大陸ヨーロッパとノルディック諸国を陸路で結ぶルートとしては、すでにデンマークとスウェーデンがオースレン・リンクとグレートベルト・リンクによって繋がっていますが、東側にもう一本整備しようという計画となります。
気になる建設費はいかほど?
実はけっこう真剣に検討されているらしいこの海底トンネル計画ですが、「これめちゃめちゃ金かかるだろうなあ」「そんなに金かけて2国をつないでも…コスパ怪しくね??」というのが正直な感想でした。
エストニア公共放送(ERR)の記事は以下のように伝えています。
160億ユーロとなると、現在(2018年8月)のレートで2兆円ちょっと!! EUでも最大級の公共事業になる見込みですし、そのくらいの出費は覚悟せにゃならんのでしょうね。
この大規模事業の背景のひとつには、やはりEUとロシアの緊張関係が見え隠れしますね。陸地ではロシアを介して大陸ヨーロッパと繋がっていたフィンランドですが、この海底トンネルの実現によってやっと大陸と直接接続されることになりますから。コスパの計算には、安全保障面も加味されていることでしょう。
ま、「2兆円」って凄まじい金額に聞こえるけど、2020東京五輪(3兆円)に比べればだいぶお安いですからね。たかだか数週間の運動会のためにパァ~ッと浪費するよりは、恒久的に収益を生むであろうトンネルを作って隣国とつないだほうが賢そうな気もしてきます。