エストニア共和国より愛をこめて

北欧の小国に留学中の大学生が当地への留学や観光、社会生活についての情報などをお届けします

どうして日本では高等教育が軽視されるんだろうか

ヨーロッパの大学生はまじめに勉強する

「日本の大学生とヨーロッパの大学生との最大の違いはなんですか?」

という質問をもしされたら、わたしはこう答えます。

「んー、やっぱり『ヨーロッパの大学生は大学でまじめに勉強する』ってことかな!」

実際にヨーロッパの大学に来てみてよくわかったんですが、こっちの大学生ってちゃんと勉強するんですよ。日本と違ってヨーロッパは学歴社会なので、「どの分野の学位を持っているか」「どの程度の成績で修了したのか」がというのが、卒業後のキャリア形成においてとっても大事なんですよね。だからみんなよい成績を取れるようにがっつり勉強します。

あと、ヨーロッパの大学は(というか、『日本以外の大学は』と言ったほうが適切なのかな?)授業で出される課題の量が多いんです。たとえば、

  • 次の授業までにこれらの文献を読んできなさい
  • エッセイを書いてきなさい
  • 次の授業でプレゼンテーションをやってもらう。準備してきなさい

みたいなやつね。こういった宿題が毎週たくさん出るので、そもそも遊んでいる暇がそんなにたくさんありません。わたしも週末はほとんどレポートの執筆だとかプレゼンの準備だとかに追われています。しかも留学生として外国語で学問をやっているので、自国語で読み書きする場合の1.5倍くらいは余計に苦労しているように感じます(日本語より英語で学んだほうがラクな分野も割とあるけどね!)。

さらに、ヨーロッパの大学の場合、一定の成績をキープしていないと除籍処分となるのが普通です。わたしの在籍する大学の場合、セメスターごとの取得単位が22.5 ECTS(=ヨーロッパ単位互換制度における単位)を下回ると、サクっと除籍されちゃいます。

もっと言うと、こちらの大学には、日本の大学にあるような遊び要素(サークル活動だとか学園祭だとか)がほぼ存在しません。完全に「学問をするための場所」「高い教養を身に着けるための場所」なんですよねえ……。

高等教育をやたらと軽視する日本。なんで?

わたしは日本では通信制大学を卒業してまして、日本の通学制の大学は経験しておりません。でも聞くところによると、どうやら多くの日本の大学って「ほとんど勉強しなくても卒業できてしまう」みたいなんですよねえ。出される課題の量が非常に少なく、単位認定もかなり緩いんだとか。学生のほうも「毎週毎週宿題に追われる」なんてことはあまりなくて、アルバイトやサークル活動を楽しむ時間が結構あるみたいです。

求職の様子もかなり違いますよね。ヨーロッパの場合は大学を修了してから求職を始めるのが普通ですが、日本ってかなりおかしなシステムを採っていて、本来もっとも研究に集中すべきはずの3~4年生の時期に一斉に求職活動を開始させられるという。

ざっくり言うと、日本においては高等教育ってあまり大事なものだとはみなされていないんじゃないかと思うんですよねえ。高等教育機関としての大学の役割、なんてものをまじめに考えている人はあまりいなくて、「教養だのなんだの、そんなものはどうでもいいので、とりあえずストレス耐性が高くて従順なやつを生産しておいてね」みたいな意見が主流なんじゃないかと。

あと、日本って儒教文化圏なので、何かにつけていろんなものに序列をつけまくって自分がどの位置にいるのか確認しないと落ち着かない、みたいな文化が根強いじゃないですか。そのためか、高等教育についても「学力偏差値による大学間の序列」にしか興味がない人たちが膨大にいますよね。

ヨーロッパだと「大学生です」と自己紹介するとたいてい「へえ、どんな分野を研究しているの?」という話になるのに、日本だと「学力偏差値による序列」ばかりにみんな興味があって、どんな学問をやっているかなんてことに関心を示す人なんてほとんどいません。

(しかし「偏差」や「序列」へのここまで極端なこだわりって、儒教文化圏外の人たちにはなかなか理解が難しそうだなー)

ま、大学の学習室にカンヅメになって課題をやったり、自室で朝から晩まで熱心にテキストを読みふけったりしているこちらの学生たちを見ていると、やっぱりこういった環境で学問ができてよかったなあと思いますけどねー。