エストニア共和国より愛をこめて

北欧に位置する人口130万ほどの小国・エストニアに暮らす大学生が、留学・観光・社会・市民生活などの話題を中心にさまざまな情報をお届けします。

大陸欧州と比べてわかる日本の労働者の働き方の「ヤバさ」について

「日本はすでに経済大国ではなく、たまたま人口が多いだけのただのアジアの島国」

前回発表しましたこちらの記事なんですが、かなり多くの方に読んでいただいたようで、現在までに38万ほどのアクセスがありました。関心の高いテーマってことなんでしょうね。

www.from-estonia-with-love.net

「ヨーロッパから見ると、日本の衰退ぶりはかなり顕著に映るみたいだよ」という趣旨の記事なのですが、どうやらこれはヨーロッパからの視点に限ったことではないようです。アメリカ在住という方から次のようなご意見をいただきました。

アメリカ在住で、IT関連の仕事をしていますが全く同じことを思います。 日本は低賃金で付加価値の低い作業を間違えずに行ってくれる、都合のいい国のイメージ。 これはアメリカでは常識になりつつあります。 高付加価値の仕事はもっぱらアメリカ系、インド系、アジアだと中国、韓国の人が担っています。 もちろん賃金も1000万円とか2000万円はザラで、年収600万円でまともな仕事をしてくれる人なんかほとんどいません。 日本はすでに経済大国ではなく、たまたま人口が多い、原発問題を抱えた、ただのアジアの島国ですね

id:djooさん)

太字による強調筆者

わたしはアメリカの情勢についてもIT業界についても全然わからないんですが、そんな感じなんですかねー。アメリカから見たオフショア先としての日本の労働環境って、

「日本人労働者って使いやすくて便利みたいだよ。めちゃめちゃ低賃金で雇えるし、休みを与えなくてもいいし、サービス残業もよろこんでやってくれるし、他の国の労働者だったらストライキを起こされそうなレベルで扱ってもぜんぜん文句言ってこないから、安心して好きなだけ使えるんだって ^^」

みたいな感じに映ってるってことなんでしょうか?(笑)

そういえばこの件、「日本人の働き方」の問題に関連付けていらっしゃる方が多かったですね。

そうなんですよねー。なんというか、日本人の「働き方」って、諸外国と比べると非常に特殊に思えるんですよね。

大陸ヨーロッパの労働者の「ユルい」働き方

わたしが住んでいるエストニアの首都、タリンでのお話をします。

中世の街並みがほとんどそのまま残っているという希少さから、ユネスコの世界遺産に登録されている「タリン歴史地区」の中心部に、「ラエコヤ広場」という場所があります。タリンへの観光客が必ず訪れる名所です。

現場の写真をどうぞ。

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ある日、この広場にオープンカフェを構えるレストランにエストニア人の友達数名と入ったんですね。夕方に差し掛かった頃だけれどもディナーにはちょっと早いかな、といったような中途半端な時間だったので、オープンカフェのテーブルについた客は私たちを含めて数組でした。

2人いたウェイターたちもわたしたちの注文を取ったあとは暇そうで、お盆を持ったまま突っ立っていたんですけど、そのうちにウェイターの一人が「お盆を人差し指でくるくる回し、そのまま放り投げて相方のウエーターにキャッチさせる」という染之助染太郎的な芸を披露し始めたんですよね(笑)

で、彼らの曲芸が意外にそこそこ上手くて(それまでにも手持ち無沙汰をそうやって埋めてたんでしょうね・笑)、なんか動作もおかしくて、わたしたちオープンカフェの客たちもキャッチが成功するごとに、やんやの喝采を送ったのでした。

そのときにわたしは思わず同席のエストニア人の友達に言ったんですよね。

「もしも日本のレストランでこんなふうにバイト従業員が遊んでたら、クレームをつけられるだろうね(笑)」

と。これが日本のファミレス・チェーンの一店舗だったら、テーブルに備え付けてある「お客様のご意見をお聞かせください」みたいなカード(わたしはこんなもの日本以外では見たことがないですが)に、

「お客様の目の前でアルバイトがお盆で遊んでいるのはいかがなものでしょうか」

みたいなことを匿名で書かれるだろうなー、と(笑)

こっちの人たち(=わたしの観測範囲である『大陸ヨーロッパの人たち』)って、日本に比べてずっと働き方がユルくて、給料に見合ったレベルでしか労働しないんですよね。日本のフリーターは低賃金でもかなり高度な労働をやってくれますが、大陸ヨーロッパではそうはいかないんです。時給に相応なレベルの働きしかしてくれないんですよ。日本のコンビニ店員やレストランの給仕が900円とか1000円とかの時給であそこまで従順に働いてくれるなんて、驚異なんですよね。

エストニアでそのへんのカフェに入ったら、勤務時間中のウェイトレスが携帯電話でおしゃべりに夢中だったりしますからね(笑) たとえば、わたしがカウンターの前に立ったところで、

「あ、お客さん来ちゃった。あとでかけ直すね。……うん。えー、もちろん。じゃあ次の週末に。……うん。……愛してる。えっといまお客さん来ちゃってるから。チャオ!*1

と会話を終えてから、やっとこさ

「テレ・トゥレマスト!*2

と言って接客をしてもらえる、みたいな(笑)

お客の側とすれば、給仕がお盆を回してようが、注文を決めるまでにウェイトレスが携帯電話で話していようが、別にどうでもいいわけですよ。そんなことにまでいちいちクレームを付けようとも思わない。何の得にもなりませんしね。

「不合理な労働形態」を「根性」でカバーするのが大好きなカッコイイ日本の労働者のみなさん

なんというか、日本特有の労働環境のヤバさというかグロテスクさって、上で述べたような接客業に限らずあらゆるところに表出してますからねえ。

大陸ヨーロッパのスーパーマーケットに行くと、レジの担当者はたいてい椅子に座って仕事をしています。コックやバーテンダーとは違って立っていなければできない仕事ではないので、起立して業務する必然性がそもそもないのですが。でも日本のスーパーマーケットだとおばちゃんが立ちっぱなしで働いていたりするでしょう?

さらに、レジのカウンターにはベルトコンベアーが設置されているので、日本のスーパーのレジに比べれば体力の消耗具合が数割違うんじゃないでしょうか。

(こういうやつね。いまの日本でも外資系スーパーマーケットにはあったりするのかな??)

supermarket belt conveyor - Google otsing

でもね。日本の労働者のみなさんは 「合理化」みたいな発想がとことん嫌いなわけでしょ。「便所掃除をやるなら、便器は素手で磨け!! そのほうが精神が鍛えられる!! トイレの神様バンザイ!!」みたいなのが大好きなんですよね(笑)

「どれほど劣悪な労働条件でも、それを根性・根性・ド根性で耐えるのが日本人労働者の美徳!! ほうれ残業残業残業!! 休日出勤休日出勤休日出勤!!」とか言って自主的に休日返上したりサービス残業したりする分にはいくらでも勝手にやってくれていいと思いますが(安上がりな労働力として使役するぶんには都合がいいですからね)、ただし、「そういう考え方ではない人たち」を巻き込むのはやめさせていきたいですよね。

*1:Tšau!(じゃあね!)

*2:Tele tulemast!(いらっしゃい!)