エストニア共和国より愛をこめて

北欧に位置する人口130万ほどの小国・エストニアに暮らす大学生が、留学・観光・社会・市民生活などの話題を中心にさまざまな情報をお届けします。

「労働大好き!」な人たちは、そうじゃない人たちの仕事を代わってあげればよいのでは



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(『海の日』のイベントを開催中のタリン港)

「日本型労働大好き派」vs 「ワーク・ライフ・バランス派」

先日公開したこの記事なんですが、結構たくさんの方に読んでいただいたみたいですね。

www.from-estonia-with-love.net

現在までに多くの反応が寄せられているのですが、内容は真っ二つに分かれています

まずは、「たしかに日本の労働環境は異常だと思う」という考え方の人たちです。

  • 日本の労働環境は劣悪すぎる。
  • 長時間労働やサービス残業などの悪しき慣習はなくしていくべきだ。
  • 日本独特の意味不明な根性論、精神論なども労働現場から追放していくべきだ。
  • 労働のみに人生を捧げたくない。趣味などを楽しむ時間は保障されて当たり前だ。

といったような意見です。ここでは便宜上「ワーク・ライフ・バランス派」と呼んでおきましょう。まあ、少なくともヨーロッパの先進諸国ではすでにごくごく当たり前の考え方でしょうねえ。

一方で、筆者の意見に反対の立場を取る「日本型の労働は素晴らしい」という考えの人たちも、かなりの数いらっしゃいます。数えたわけではないのですが、"わたしの個人的な印象"としては、こちらのほうが日本では多数派なのではないでしょうか。

  • 時給900円程度の低賃金のアルバイトがここまで高密度の労働をやってくれる国なんて、世界でも日本以外には存在しない(※この点に限っては筆者も完全に同意見です)
  • 安い賃金でも当たり前のように高度なサービスを提供する日本の労働者は、極めて優秀だ。
  • 長時間労働やサービス残業を批判する人も多いが、厳しい環境に身をおくからこそ精神が鍛えられるのではないか。
  • 長時間労働こそが日本のかつての経済成長を支えてきたのだ。それを否定すべきではない。
  • 「仕事より趣味を大切にしたい」というのは、はっきり言って「甘え」ではないか。
  • 「働かせていだたく」「仕事をさせていただく」というのは、本当にありがたいことだ。心から感謝すべきことだ。

みたいな感じの人たちです。「日本型労働大好き派」とでも呼んでおきましょうか。わたしの記事についてのNewsPicksでのコメント欄では、この「日本型労働大好き派」が優勢という印象を受けました。余談ですがこの考え方の人たちにはすごくポジティブ思考の人が多くて、「日本は水道の蛇口をひねれば水が出る。これはすごいことだ」とか「日本では時刻通りに電車が出発する。これは日本が優秀だからだ」とかいちいち感動しているみたいです。テレビの「日本礼賛番組」「日本SUGEEE!!!番組」みたいなのって、このあたりの層に需要があるのかな。長生きしそうな方々ですね。

美しきWIN-WINの解決策

筆者であるわたしも「ワーク・ライフ・バランス派」なのかというと、実はちょっと違うんですね。わたしはもうちょっと美しい考え方を持っています。前回の記事においてすでに表明しております。下に引用した文章の下線部分に注目してください。

……自主的に休日返上したりサービス残業したりする分にはいくらでも勝手にやってくれていいと思いますが(安上がりな労働力として使役するぶんには都合がいいですからね)、ただし、「そういう考え方ではない人たち」を巻き込むのはやめさせていきたいですよね

大陸欧州と比べてわかる日本の労働者の働き方の「ヤバさ」について - エストニア共和国より愛をこめて

「働かせていただくのはありがたいことだ。長時間労働を厭わない日本の労働者は優秀なのだ。日本型労働ばんざい!」みたいな人たちって、すごく便利で使いやすい労働力ですよね。とってもありがたい人たちなわけですよ。ヨーロッパの労働者だったらストライキやデモを起こすようなレベルで酷使しても、ぜんぜん文句を言ってこない、いやそれどろか「勤労は美徳!! 働かせていただいてありたい!!」とか思っているわけですから。

わたしはこういった人たちに対して「いやいや、ワーク・ライフ・バランスは大事だよ。サービス残業なんてやめなさいな。有休もちゃんと取りなよー」とか言いたいのではありません。そんなことこれっぽっちも思っていません。そうではなくて、

「はい、どんどん長時間労働やってください。趣味なんて犠牲にしちゃってください。低賃金で過酷な労働をやってくださってありがたいです。ただし、『そういう考え方ではない人たち』を巻き込まないでくださいね

ということを言っているんですね。

長時間労働が大好きな人たちが好きこのんで長時間働くのはなんの問題もないんですよ。好きでやっていることなわけですから。むしろどんどん働いたらいいじゃないですか。サービス残業もどんどんすすんでやったらいいんです。居酒屋チェーンのワタミの創業者によると「人間は食べ物がなくても『感動』を食べるだけで生きていける」んだそうですから、残業代どころか通常の給与ももらわなきゃいいんですよ。感動を食べてりゃ死にませんから大丈夫です。

ただし「『そうではない人たち』に自分たちの考え方を押し付けないでほしい」んですよ。わたしが言っているのはこの一点だけ。

職場で「ワーク・ライフ・バランス派」が定時退社しようとすると「まだ残っている社員もいるのに先に帰るとはどういうことだ!!」みたいなことを言う「日本型労働大好き派」がいる、これが問題なわけですよ。

例え話をしましょうか。どこかで会食しているときに「あ、俺ピーマン嫌いなんだよね」という人と「ピーマンが大好物!」という人が同じテーブルにいれば、ピーマン嫌いの人がピーマン好きな人にピーマンをあげればどちらも幸せですよね。

そんな感じのイメージで、「日本型労働大好き派」の方々は、定時退社したい、または有給休暇を取りたい社員たちの仕事を、どんどん率先して引き受けてあげればいいじゃないですか。「ワーク・ライフ・バランス大事!」な人たちと「長時間労働こそ美徳! 働かせていただけてありがたい! ノミニケーションは大切! 便所掃除は素手で! 人間は感動を食べるだけで生きていけるのです!」の人たちの利害関係は、完全に一致しているわけですから。もう、完璧なWIN-WINの関係ですよね。双方にとって幸せなわけですから。

「サービス残業してでも働きたい、休日を返上してでも仕事をしたい」という労働大好きな人たちがめちゃくちゃたくさんいるわけですから、そういう人たちに馬車馬のように働いてもらい、逆に「ワーク・ライフ・バランス派」はゆとりある人生を楽しむ、というのが、誰もが満足できる、いちばんスマートで美しい解決方法なのではないでしょうか。