エストニア共和国より愛をこめて

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データから見る日本の子どもの貧困~「日本死ね」とか言わなくても日本は勝手に死にそうでござる

「保育園落ちた日本死ね」が流行語大賞にノミネートされたとかで、また「日本に向かって死ねとはなんだ!」だとか、どうでもいい議論が盛り上がっているようですね。

外国人に無理やり「日本SUGEEE!!!」などとなんでもかんでも褒めさせるテレビ番組ばかり作って悦に入っているような国ですから、「世界中から尊敬される超一等国・日本様に歯向かう輩は袋叩きにしてやれー!!」って感じなんでしょうかねー。「死ね」という言葉の自体の是非を問題にしている人もいるようですが、そんなものヘイトスピーチを長年放置し続けた国の分際で何を言っているのかって話ですよね(笑)

それよりも、わざわざネットで炎上を仕掛けてまでこの問題を世に訴えざるを得なかった子育て中の親御さんの悲痛さの方に共感がいくのが普通だと思うんですが、まあ、社会に物申す人間なんて全力でぶっ潰しにいく国民だからそういう感情もないか。

しかし事実として日本の子育てをめぐる環境は先進国の中では悪い部類っぽいんですよ。保育園不足もそうなんですが、同じく深刻なのが「多くの子育て家庭や子どもたち自身が貧困の危機に晒されている」という問題です。というか、経済的に苦しいので子どもを育てながら働かなくてはならない親が多いことが保育園不足をさらに後押ししているわけで、子どもの貧困のほうも放置している場合じゃないんですよ。

今回はOECD(2009)およびUNICEF(2012)のデータを参考に、日本の子どもの貧困について見てみましょう。どちらもちょっと古いデータなので今は状況がさらに悪くなっているかもしれませんけど。

物質的豊かさ 22位(30か国中)

「日本って保育園の数が足りなかったりはするけれど、裕福な国だから物質的には恵まれているほうなんでしょ?」と思ってらっしゃる方もいると思うんですが、日本が豊かだったのはずいぶん昔の話です。OECDのデータによると「日本の子どもの物質的豊かさ」は30か国中22位という順位になっております(OECD 2009)先進国としては貧しい部類の国ということになりますね。ちなみに上位は1位ノルウェー、2位デンマーク、3位ルクセンブルク、4位フィンランドと続きます。やはり北欧諸国強し。

子どもの貧困率 14.9パーセント

子どもの貧困率(所得が中央値の50パーセントを下回る家庭で生きる子どもの割合・百分率)(UNICEF 2012)

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このあたりは日本の相対的貧困率のヤバさをよく表すデータですねえ。貧困率が最低なのはアイスランドで4.7パーセント、ついでフィンランドが5.3パーセント、キプロス6.1パーセントと続きます。日本は14.9パーセント、おおむね子どもの6人に1人が貧困線以下で暮らしています。衝撃的ですね。

学用品の普及 27位(30か国中)

以下の学用品8品目のうち、4品目未満しか与えられていない15歳の子どもの割合(千分率)(OECD 2009)

(1)学習机 (2)静かに勉強できる場所 (3)勉強用のパソコン (4)勉強につかうソフトウェア (5)インターネット (6)計算機 (7)辞書 (8)教科書

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15歳の子どもがいる家庭ならば8品目すべて揃って当たり前に思えてしまうんですが、日本ではこれらのうち4品目未満しか与えられていない子どもが5.6パーセントいるそうです。40人のクラスなら2~3人が該当することになりますね

これも「え、日本ってモノにあふれている国だから、こういうのってもっと上位に位置してるのかと思った!」という方が多そうですね。あと (3)勉強用のパソコン とか (5)インターネット あたりについては「こんなもの贅沢品だろ!! ふざけるな!!」とか激怒する人が日本には普通にいそう。

まとめ

というわけで、日本の子どもの貧困についてまとめると、

「OECD諸国の中でも物質的に貧しく、貧困率が高く、学用品がまともに与えれられていない子どもが多い」

という身も蓋もない結果になってしまったのでした。とにかく貧乏である、と

ま、これだけ子どもの貧困が深刻な問題となり、子どもや子どもを持つ親に冷淡な国であることが明らかになっているのに、政府は対策なんて考えてもいないわけですからねえ(笑)

国民の側も国や自治体にを対応を求めるどころか、ベビーカーを引く親は邪魔者、うるさいから近所に保育園を作るな、「貧困について考えてほしい」とNHKのニュース番組で訴えた高校生は袋叩きにしてやれ、ですから。

これだけ子どもを育てにくい社会なわけですから、少子高齢化に歯止めなんてかかるはずもなく、このままひたすら進行するだけに決まってますよね。ますます国力は低下し経済も悪くなっていっそう貧しい国に落ちぶれそうです。

わざわざ「日本死ね」とか言わなくても勝手に死にそうですね(笑) この調子ならあと15年くらいで滅んでいるんじゃないでしょうか。

参考文献

OECD (2009). Doing better for children. Chapter 2, Comparative Child Well-being across the OECD. Paris: OECD Publishing. Retrieved December 4, 2016, from https://www.oecd.org/els/family/43570328.pdf

UNICEF (2012). Innocenti Report Card 10, 2012 Measuring Child Poverty New league tables of child povertyin the world’s rich countries. UNICEF Innocenti Research Centre. Retrieved December 4, 2016, from https://www.unicef-irc.org/publications/pdf/rc10_eng.pdf

おまけ

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

日本の子どもの貧困問題についてきちんと知りたい方はこちらの本をお読みくだされ。ちょっと古くて8年前の本なので、より状況は悪化しているかもしれませんね

また、この本からデータを引用した記事を一本書いてますので参考にあげときます。

 

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