エストニア共和国より愛をこめて

北欧に位置する人口130万ほどの小国・エストニアに暮らす大学生が、留学・観光・社会・市民生活などの話題を中心にさまざまな情報をお届けします。

エストニアはヘイトスピーチを法律で規制していますのでご注意!


ヘイトスピーチを刑法で規制しているエストニア

すでに何度か書いていますが、わたしはエストニアでの大学生活3年目に入った前学期から留学生のチューターを担当しています。今学期はドイツ人女子2人、トルコ人女子1人という計3人の面倒を見ております。彼女らがエストニアに到着した際には空港やバスターミナルに迎えに行ったり、留学生向けオリエンテーションを手伝ったりと忙しかったんですが、すでに3人ともすっかり新しい環境に馴染んでいる様子なので、いまはわたしも自分の学業に集中しております。

留学生対象のオリエンテーションにはわたしも同席したんですが、毎度恒例のコーナーとして警察の担当者を招いてエストニアの法律や防犯知識について講演してもらうという時間が設けられています。

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今学期もゴツい外見の警察のお兄さんがやってきて「公共の場所でこういう行為をするとエストニアでは犯罪になるよ~」などと教えてくれたんですが、上の写真はエストニアの刑法第151条「差別の煽動の禁止」について説明してくれているところです。

「この国では人種や宗教、出自、性的指向などに基づいて他人に危険を感じさせるような差別煽動を行うと犯罪になるので、みんな絶対にやらないでね!ヨロシク!」

そう、エストニアは他の欧州諸国と同じく、ヘイトスピーチを法律によって規制しています。とうぜんエストニアへの旅行者や仕事での滞在者も対象となりますので(わざわざ日本からエストニアにやってきてヘイトスピーチを行う人がいるかどうかはわかりませんが)、いちおうちょこっとだけ解説しておきましょうかね。

ただしわたしは法律の専門家でもなんでもありませんので、ごく一般的な知識のみの説明です。

 

エストニアの刑法の条文をチェックしてみよう

エストニアの刑法については、政府が英語訳をホームページに掲載しているので、そちらから簡単に確認することができます。

Penal Code – Riigi Teataja

エストニア刑法の第10章「政治的および市民的権利に対する罪」第1部「平等に対する罪」に属する第151条の条文が、いわゆるヘイトスピーチ規制となっています。

Activities which publicly incite to hatred, violence or discrimination on the basis of nationality, race, colour, sex, language, origin, religion, sexual orientation, political opinion, or financial or social status if this results in danger to the life, health or property of a person is punishable by a fine of up to three hundred fine units or by detention.

(引用者訳)

国籍、人種、肌の色、性別、言語、出自、宗教、性的指向、政治的意見、経済的・社会的地位などに基づくヘイト、暴力、差別の煽動を行い、他人の生命、健康、所有物に危険を生じさせた者は、300単位以下の罰金もしくは拘留に処す。

参照元: Penal Code – Riigi Teataja

 「300単位以下の罰金」という条文になっていますが、2018年2月現在の1罰金単位は4ユーロのようですので、現在のレートだと「約16万円以下の罰金」ということになるのだと思います。

もちろんこれは「相手に危険を生じさせた」"だけ"の場合ですからね。当然ですが実際に身体的な危害を加えた場合にはさらに重い罪に問われます。

さらに、国籍や人種などを対象にした差別発言は、当然のことながら被害者が訴訟を起こせば民事事件として裁かれることになります。

先にも触れたように、このようなヘイトスピーチに対する法律による規制はエストニアだけではなく他のほとんどのヨーロッパ諸国に存在しますので、旅行者や留学生の方などはくれぐれも注意してくださいね。まあ、法律の有無にかかわらず、人種などの属性にもとづいて他人を差別することそのものが許されないのは言うまでもないことですが。