エストニア共和国より愛をこめて

北欧に位置する人口130万ほどの小国・エストニアに暮らす大学生が、留学・観光・社会・市民生活などの話題を中心にさまざまな情報をお届けします。

「世界が絶賛する日本!」みたいな自国礼賛サイトはこうやって作られていた



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「日本礼賛番組」も一種の「ポスト真実」ではないのか

当ブログでもこれまでに何度も批判していますが、ここ数年日本のTVで流行している「日本礼賛番組」は、ほとんどが異常に過剰な演出や誇張、場合によってはミスリードや捏造に基づいたフェイク・バラエティです。

日本はもはやそんなにすごい国ではありません。日本が豊かだったのはせいぜい1990年代初頭までの話です。それ以降は経済的にも文化的にも日本の存在感は低下する一方で、どんどん世界から相手にされない孤独な国に落ちぶれようとしています。

ヘルシンキやタリンでアジア人を見かけても、彼らはたいていは中国からの旅行客で、日本人であることは稀です。北欧まで遊びに来る余裕がある日本人はもうそんなにいないでしょうねえ。

いわゆる「ガラパゴス化」が極度に進行してしまった日本の家電なんてとっくの昔に中国や韓国のメーカーに駆逐されてしまっていて(カメラとプリンターを除く)、ヨーロッパのデパートではほとんど見ることができません。

日本のアニメや漫画、TVゲームといったサブカルチャーに接している人はヨーロッパにもいますが、あくまで一部のマニアックな層に過ぎず、日本人が考えているほどには流行していません。「Cool Japan」なんて言葉を知っている人はいません。

「日本礼賛番組」に出てくる、「日本の技術は最高だよね。文化も素晴らしいし、人々は礼儀正しいし、憧れの国だよ!」とひたすら日本を褒めちぎってくれる外国人は、TVの中にしか存在しません。無理矢理な演出と、「どうせ何を言っているか視聴者にはわからないんだから」と適当につけられたテロップによる産物に過ぎません。

「日本で働くことを夢見る外国人」も、非常に限られた人たちです。日本の労働環境の劣悪さは海外でもよく知られていますし、英語を話せる人が少ないこと、賃金が高くないこと、そもそも排他的な国民性であることも多くの人が知っているので、高度な技能を持つ人ほどわざわざ日本で働こうとはしません。これからも日本の経済は縮小を続け、いっそう貧しい国になることが確定しているわけですから、そんな国にあえて移住しようという人はそうそういません。

しかし、地上波で毎週何本も放送される「日本礼賛番組」を鵜呑みにしている人たちは、そんなことは夢にも考えないことでしょう。「日本は世界最高の工業技術を持つ先進国で、日本のオタク文化は世界を席巻、日本人の慎ましやかな国民性は国際的に大絶賛されている。日本に生まれてよかった、日本に生まれた自分は幸せだ!!」と信じて疑わないはずです。

……となると、こういった「日本礼賛番組」の流行現象って、一種の「ポスト真実」による世論形成なんじゃないですか。

番組製作者の側も、この手の自国礼賛モノが簡単に視聴率を取れることがよくわかっているからこそ乱造しているわけですから。これらの番組はやらせや演出が許容される「バラエティ」として放送されていて、公正さが求められる報道番組とは形態が違いますが、「金を稼げれば内容なんてどうでもよかった」と嘯く、アメリカ大統領選に関する嘘ニュースサイトを作りまくって大儲けしたマケドニアの青年とやっていることは同じですよね。

「日本SUGEEE!!!」サイトはこうやって作られていた

「日本SUGEEE!!!」はTVだけはなく、インターネットでも氾濫しています(というか、ネット上のほうがむしろ先行していて、TVの側がそれらを参考にしたのかも)。

ちょっと検索してみると「海外の反応」と称して、海外の掲示板で日本を絶賛してくれる外国人の発言を集めたサイトが嫌というほど出てきます。YouTube にも「世界中が絶賛する日本のすごさ!」みたいな動画が溢れています。日本語がわかる外国人が見たら「日本人はなんて恥ずかしげもなく自画自賛をするのが好きな国民なんだ!!」とひっくり返りそうなくらいです。

こういったコンテンツって誰が作っているのかな、と思っていた矢先、クラウドソーシングサービスの「ランサーズ」に次のような募集が出ているのを見つけました。

www.lancers.jp

日本の素晴らしさが再認識できるよう、海外からどのような称賛、反応が得られているかわかる記事を募集します。

・日本の技術力に関する海外の反応
・日本食に関する海外の反応
・日本文化に関する海外の反応
・日本人の快挙に関する海外の反応
・日本と海外の比較に関する海外の反応

上記に関するネタを海外の掲示板や記事から集めて頂き、それに対する海外の人の反応を独自にまとめて頂く仕事となります。

 

引用:【翻訳ライター様募集】日本の素晴らしさが認識できる事例と海外の声 - 2017/01/23の依頼/外注 | 英語翻訳・英文翻訳の仕事 | ランサーズ

 おお! ずばり「海外の反応」サイトのコンテンツ制作の求人ではないですか!

読者は日本人なので日本人が
「うわぁー、まじか!」
「へぇーこんなのが人気あるんだぁ…」
「おお、やっぱ日本すげー!さすが!」
「海外にはないの?日本人でよかった~」
と思えるネタをピックアップください。

 

引用:【翻訳ライター様募集】日本の素晴らしさが認識できる事例と海外の声 - 2017/01/23の依頼/外注 | 英語翻訳・英文翻訳の仕事 | ランサーズ

しかも露骨に「『日本SUGEEE!!!』ってなる記事を書いてね!」という依頼になっているのが笑えます。

おまけに、

■注意事項(引用者注:抜粋)
・日本人の読者が中学生ぐらいだと思い、わかりやすく文章を編集して下さい。

 

引用:【翻訳ライター様募集】日本の素晴らしさが認識できる事例と海外の声 - 2017/01/23の依頼/外注 | 英語翻訳・英文翻訳の仕事 | ランサーズ

などと、この手の記事の想定読者の水準を慮って執筆してほしいという条件まで(笑)

いやー、「海外の反応」と称した日本礼賛サイトの一部は、こういった形で量産されている可能性があるということですね。いよいよ「ポスト真実」感がしますねえ。

こういった記事を執筆している人たちこそ「別に日本は世界からそこまで褒められてない」「日本に関心がある人はそんなにいない」「ぶっちゃけ日本はすごくない」ってことをよくわかっているはずなんですよねえ。いろいろな掲示板やニュースのコメント欄からネタを拾ってきてはなんとか記事を仕上げているんでしょうが、そんなに都合よく日本を絶賛してくれる人はそうそういないですから。

サイト制作者としては「いや、『日本SUGEEE!!!』ネタはアクセス数が稼げるからやめられないんだよね。真実かどうかなんてどうでもいいんだよ。こんなのに騙される方も騙される方なんじゃないの?」ってことなんでしょうね。「日本SUGEEE!!!」を鵜呑みにしている方々、ちょっとは目が覚めましたか?